札所会の発行している案内によれば、浅草寺から目黒の瀧泉寺へと巡る江戸三十三観音霊場は、享保20年(1735)刊行の『江戸砂子拾遺』に掲載されており、寛永19年(1642)から元禄11年(1698)に成立したと推測されているという。
その後も「坂東写し」「西国写し」や「新撰」、山の手・浅草・深川など、数多くの観音霊場が設定されたといい、善男善女の巡拝で賑わった様子が思い浮かぶ。
『昭和新撰 江戸三十三観音』は、これらの札所をベースとして昭和51年に結成された。「巡拝しやすく」というモットーの通り、交通が便利で誰でも参拝できる上、浅草寺・増上寺・護国寺といった東京を代表する名刹も数多く含まれている。
さらに番外を含めた34札所中、『江戸砂子拾遺』掲載の札所が16ヶ所、その他の観音霊場に含まれていた札所が3ヶ所であるが、32番観音寺のように戦後開創された寺院もある。寺院の外観も、護国寺のように江戸時代の伽藍が残っているところもある一方で、24番の梅窓院のようにまったく現代的な建築に生まれ変わっているところもあり、極めてバラエティに富んでいる。また、同じ山の手沿線とはいえ、寺を囲む町の光景もさまざまだ。いろいろな意味で、非常に魅力の多い霊場である。なお、30番は平成4年に補陀洛山海晏寺(南品川)から豊盛山一心寺(北品川)に変更されている。
各札所の対応もきちんとしているので、手頃なところから札所巡りを始めてみたいという人にとってはお勧めの霊場といえるだろう。
第1番 | 第2番 | 第3番 | 第4番 |
金龍山 浅草寺 (浅草観音) 台東区 浅草三丁目 |
江北山 清水寺 台東区 松が谷二丁目 |
人形町 大観音 中央区 日本橋人形町一丁目 |
諸宗山 回向院 墨田区 両国二丁目 |
第5番 | 第6番 | 第7番 | 第8番 |
新高野山 大安楽寺 中央区 日本橋小伝馬町 |
東叡山 清水観音堂 台東区 上野公園 |
柳井堂 心城院 文京区 湯島三丁目 |
東梅山 清林寺 文京区 向丘二丁目 |
第9番 | 第10番 | 第11番 | 第12番 |
東光山 定泉寺 文京区 本駒込一丁目 |
湯嶹山 浄心寺 文京区 向丘二丁目 |
南縁山 円乗寺 文京区 白山一丁目 |
無量山 伝通院 文京区 小石川三丁目 |
第13番 | 第14番 | 第15番 | 第16番 |
神齢山 護国寺 文京区 大塚五丁目 |
神霊山 金乗院 豊島区 高田二丁目 |
光松山 放生寺 新宿区 西早稲田二丁目 |
医光山 安養寺 新宿区 神楽坂六丁目 |
第17番 | 第18番 | 第19番 | 第20番 |
如意輪山 宝福寺 (中野観音) 中野区 南台三丁目 |
金鶏山 真成院 新宿区 若葉二丁目 |
医王山 東円寺 杉並区 和田二丁目 |
光明山 天徳寺 港区 虎ノ門三丁目 |
第21番 | 第22番 | 第23番 | 第24番 |
三縁山 増上寺 〔西向観音〕 港区 芝公園四丁目 |
補陀山 長谷寺 (麻布大観音) 港区 西麻布二丁目 |
金龍山 大円寺 文京区 向丘一丁目 |
長青山 梅窓院 港区 南青山二丁目 |
第25番 | 第26番 | 第27番 | 第28番 |
三田山 魚籃寺 港区 三田四丁目 |
周光山 済海寺 港区 三田四丁目 |
来迎山 道往寺 港区 高輪二丁目 |
勝林山 金地院 港区 芝公園三丁目 |
第29番 | 第30番 | 第31番 | 第32番 |
高野山東京別院 港区 高輪三丁目 |
豊盛山 一心寺 品川区 北品川二丁目 |
海照山 品川寺 品川区 南品川三丁目 |
世田谷山 観音寺 (世田谷観音) 世田谷区 下馬四丁目 |
第33番 | 番外 | ||
泰叡山 瀧泉寺 (目黒不動) 目黒区 下目黒三丁目 |
龍吟山 海雲寺 (千躰荒神殿) 品川区 南品川三丁目 |
2005.06.04
更新:2006.06.04
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