中央の朱印は「縣居神社」、右上は葵の神紋、左下は「縣居神社参拝之證」。
縣居神社
あがたいじんじゃ
| 縣居神社 （あがたいじんじゃ） | |
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| 御祭神 | 賀茂真淵大人命〔かものまぶちうしのみこと〕 |
| 鎮座地 | 静岡県浜松市中区東伊場一丁目22−１ （地図表示：マピオン） |
| 創建年代 | 天保10年（1839） |
| 社格等 | 旧県社 |
| 由緒 | 国学四大人〔こくがく しうし〕の一人・贈従三位賀茂真淵大人命を祀る。社号は雅号の「縣居」に因む。 賀茂真淵は元禄10年（1697)遠州敷智郡〔ふちぐん〕伊場村（岡部郷ともいう。現在の浜松市中区）に鎮座する賀茂神社の神主・岡部政信の次男として生まれた。岡部氏は京都の賀茂社の社家である賀茂県主の一族である。 伝承によれば、鎌倉時代、上賀茂神社の社司・賀茂師重の長女・筑前局が内命婦となり、亀山天皇より浜松庄岡部郷に500石を賜った。そこで、弟の道久が代官となり、上賀茂神社の新宮を奉斎し、当地に移住して岡部を名乗ったという。 10歳頃から、浜松の諏訪神社の神主・杉浦国頭〔すぎうら くにあきら〕の妻で、荷田春満〔かだのあずままろ〕の姪になる真崎について手習いを始めた。江戸へ向かう際、杉浦家に宿泊した荷田春満とも面識を得、その歌会にも出席したという。また、やはり荷田春満門下で五社神社の神主・森暉昌〔もり てるまさ〕の許でも学んだ（五社神社諏訪神社境内には、賀茂真淵が森暉昌の功績を記した光海霊神〔うなてりのみたまのひ〕の碑が残っている）。 享保８年（1723）27歳で結婚するが、翌年妻が病没。同10年（1725）浜松の本陣・梅谷家に婿養子としてはいる。しかし向学の念やみがたく、同18年（1733）妻の勧めにより、密かに家を出て京都に上り、荷田春満の門下に学んだ。 元文元年（1736）春満が没すると浜松に戻り、翌２年（1737）江戸に下って私塾を開いた。延享３年（1746）御三卿の一・田安宗武から和学御用掛として迎えられた。また、橘千陰、村田春海を始め多くの門人を輩出している。本居宣長は、伊勢参宮のために松阪に宿泊した真淵を訪ね、生涯一度の教えを受けた。また、塙保己一は最晩年の賀茂真淵に入門している。明和６年（1769）真淵は江戸で没した。 縣居神社の創建は、浜松城主・水野忠邦をはじめ、その国学の師である高林方朗〔たかばやし みちあきら〕ほか賀茂真淵を崇敬する人々が伊場村の賀茂神社境内に建立した縣居翁霊社にさかのぼる。 天保４年（1833）水野忠邦から「縣居翁霊社」の碑文と「天保癸巳八月末学領主侍従源朝臣忠邦」の裏書きをいただき、同６年（1835）賀茂神社境内に建碑（この碑は現在も縣居神社拝殿前に建っている）。同10年（1839）３月22日に遷座の儀を執り行った。 明治16年（1883）賀茂真淵に正四位が追贈され、翌17年（1884）には縣居神社と改称、さらに同38年（1905）には従三位を賜っている。大正４年（1915）有志により独立・県社昇格が計画され、同９年（1920）現社地に独立・仮移転。同13年（1924）社殿が完成して正式に遷座祭が執り行われ、昭和３年（1928）県社に昇格した。 しかし昭和20年（1945）戦災のために社殿等焼失。この時、縣居文庫（昭和４年、賀茂真淵の本家筋に当たる岡部讓翁が真淵の学徳を偲び、蔵書を寄贈したもの）も、その多くが焼失してしまった。現在の社殿は昭和59年（1984）に再建されたものである。 |
| 例祭 | 10月30日 |
| 神事・行事 | ３月４日／生誕祭 ４月第１日曜日／勧学祭 |
| 文化財 | 〈県有形文化財〉正平版論語 |
| メモ | 浜松駅から西へ２kmほどのところに鎮座する。東へ300mほど行くと、元の鎮座地である賀茂神社がある。また、境内から坂を下りたところが誕生の地で、真淵翁顕彰碑広場として整備されており、「贈従三位賀茂真淵誕生之地」の碑や賀茂真淵翁顕彰碑が建っている。さらに境内脇には賀茂真淵記念館もある。郷土の偉人として尊敬されていることがよくわかる。 |
| 参考 | 国学四大人とは、荷田春満・賀茂真淵・本居宣長・平田篤胤の四人であり、それぞれを祭神とする旧府県社クラスの神社がある。すなわち東丸神社（荷田春満、京都市伏見区）、当社、本居宣長ノ宮（本居宣長、三重県松阪市）、彌高神社（平田篤胤、秋田県秋田市）である。 |
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| 「贈従三位賀茂真淵誕生之地」碑 | 賀茂真淵翁顕彰碑 |
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| （表）「縣居翁霊社」社号標（裏） | 拝殿 |
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| 本殿 | 賀茂神社 |
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